J3ギラヴァンツ北九州は11月13日、ミクニワールドスタジアム北九州(小倉北区)でカターレ富山と対戦し、1-2で敗れた。今季のホーム最終戦を白星で飾ることはできなかった。
ギラヴァンツは引退を表明していた藤原広太朗がセンターバックで先発し、今季限りでの契約満了が発表された六平光成と永田拓也もスタメンに名を連ねた。
両者が4-4-2のフォーメーションを組む中、序盤から球際の攻防が激しいゲーム内容となった。ゲームは落ち着かない状況のままで進み、双方にシュートチャンスが多く発生。ただ、前半11分の井野文太のシュートは枠を捉えられず、その後の左サイドから崩してFW陣がゴールを狙ったがネットは揺らせなかった。
富山も同23分に直接フリーキックから林堂眞が枠を捉えるシュートを放ったが、ギラヴァンツはGK加藤有輝がファインセーブを見せてゴールを許さなかった。
均衡が破れたのはその直後だった。前半24分、フリーキックの流れからコーナーキックを得た富山は右からクロスボールを供給。一度はギラヴァンツの守備陣が跳ね返すが、再び右サイドから松岡大智がクロスを送り、これにマテウス・レイリアが頭で合わせて先制する。
0-1となった直後、ギラヴァンツはGK加藤がクロスボールを処理する際に相手選手と接触。脳しんとうの疑いのために退くことになり、5カ月ぶりに吉丸絢梓がゴールマウスの前に立った。
後半は1点を追いかけるギラヴァンツが優勢に展開。押し気味に進めていた後半10分、佐藤亮がボックス内からヒールパスで前川大河に供給すると、すかさず送ったグラウンダーのクロスボールに上形洋介が飛び込んだ。「練習でも結構速いボールを要求していた」と話す上形が相手ともつれながらも右足でシュートを放ち、ゲームを振り出しに戻した。
その後も試合の主導権をギラヴァンツが握り、何度もチャンスを作っていく。しかし、最後の精度を欠いたり、富山のGK齋藤和希の好反応に遭って決め切れず、終盤まで1-1のままで進んでしまう。
好機を決められないとチャンスが相手に行くのはサッカーではよくあることで、最終盤についにモメンタムは相手へと渡ってしまう。アディショナルタイムには富山が勝ち越し点。ギラヴァンツ陣内の浅い位置でフリーキックを獲得すると、椎名伸志の蹴り入れた浮き球に林堂眞が合わせ、ゴールネットを揺らした。ギラヴァンツはフィールドプレーヤーとGKの間に放られたボールへの対応が後手に回った。
ギラヴァンツは13位に後退。11月20日に敵地で行われるFC岐阜戦に勝てば、11位まで浮上できる可能性がある。
天野賢一監督は試合後の記者会見で「セットプレーの流れでの失点は改善しようと試みていたが、ウィークが出てしまった」と悔やんだが、攻撃面では「偶然ではなく相手を見て再現性のあるプレーをすることをやってきた中で、今日は意図的なチャンスメークができていた」と手応えもある試合だったと話した。
上形も「取り組んできていることはチーム全体で共有できている。上手く行き始めていたと思うが結果が伴わず、もどかしい部分がある」と明かしつつ、「やってきていることは間違っていないと思う。あとは結果だけ」と今季の最終戦に目を向けていた。