J3ギラヴァンツ北九州は11月6日、ミクニワールドスタジアム北九州(小倉北区)でSC相模原と対戦し3-1で勝利した。
ゲームは序盤にポイントとなるシーンが生まれた。前半14分、ボックス内に攻め込んだ相模原の選手とギラヴァンツのGK加藤有輝が接触、これがファールと判断されてPKとなり、相模原が先制のチャンスを迎える。しかし、ボールをセットした相模原・船山貴之の左方向へのシュートを加藤が横っ飛びでファインセーブ。このシーンを境に流れは大きくギラヴァンツに傾いた。
相手の出足が鈍くなるのと同時に、ギラヴァンツがボールを敵陣に運べるようになり、相次いでシュートシーンを創出する。前半20分には初先発の井野文太が敵陣でボールを受けて前線の前川大河にボールを送ると、井野はそのままボックス内に動いて前川からのパスを再び回収。落ち着いてラストパスを送り、佐藤亮がコースを突いたシュートを左隅にしずめた。
「前川選手が溜めを作ってくれて、井野選手も僕を見てくれていた。井野選手に何としても(アシストなどの)数字を残してあげたかった。個人的にも嬉しいし、井野選手の自信にもなったと思う」(佐藤)
前線の連係から先制点を挙げたギラヴァンツは同30分に追加点。藤谷壮のクロスボールを受けた池高暢希がバイシクルシュートを放とうと試み、そのこぼれ球から永田拓也が鋭いシュートでゴールネットを揺らした。
直近2試合ともに2点差を追い付かれていたギラヴァンツは、2-0となったあとに一時的に相手に攻め込まれ、相模原の浮田健誠にはクロスバーを叩くシュートを放たれる。それでもゴールは割らせず、運も味方に付けて難しい時間を耐えると、再びチャンスが到来。前半44分に六平光成のスルーパスから右の背後を突いて佐藤がボールを引き出し、折り返しのパスから池高がリードを広げるゴールを決める。
3-0で迎えた後半は、相模原がプレス強度を高めて前進。後半7分にFW間の連係からチャンスを広げ、浮田のパスから船山がシュートを放って3-1とする。
ギラヴァンツにとっては再び2点差となって嫌な記憶が蘇るところだったが、失点直後に選手同士が集まって士気を高め、ベンチもフレッシュな選手を準備して流れを断ち切ろうと注力。「ここ数試合は苦しい試合があり、選手たちも苦しかったと思うが、慌てずに自分たちのサッカーを続けた。途中交代で出た選手もチームに力を与えてくれて、守備の強度アップができ、追加点が取れそうなシーンも作れた」(天野賢一監督)と同じ轍を踏まないように前向きにゲームを運んだ。
特に光ったのは守備強度で、ゴールこそ奪えなかったが後半36分にはハイプレスでボールを取り返すと、ショートカウンターから佐藤がシュートを放って相手ゴールを脅かした。強度の高い守備で相手のクオリティーを下げたり、シュートで終わることでギラヴァンツにとって守備を整理しやすい状況を作り出すなど、攻守に前掛かりな姿勢が自ゴールに攻め込まれる回数を削った。
試合はギラヴァンツが3-1で逃げ切り、4試合ぶりの白星。後半22分には小倉港・砂津泊地にボールが飛び込む「海ポチャ」も生まれ、勝利に花を添えた。
天野監督は先制点をアシストした井野について「トレーニングを積んで伸びてきていた。先週も途中から起用して良い出来だったので思い切って先発起用した。守備力はチームのパワーになり、ボールを持った時の落ち着きと視野の広さも発揮できたと思う。よりいい選手を目指して取り組んでいってほしい」と称えた。
ギラヴァンツは次戦が今シーズンのホーム最終戦で、11月13日午後2時からカターレ富山と対戦する。佐藤は試合後、「90分の中でサポーターに何を届けられるか。自分たちが今シーズンの最後に何を表現したいか。結果で証明したい。来季につながるサッカーと今年の集大成を見せたい」と意気込みを語った。