J3ギラヴァンツ北九州は3月12日、ミクニワールドスタジアム北九州(小倉北区)でカマタマーレ讃岐と対戦し、3ゴールで快勝した。今季初勝利。岡田優希は2得点を決めた。
お互いに4-4-2のフォーメーションで試合に臨むミラーゲームの形となった。讃岐はその特徴を生かして対面するギラヴァンツのフィールドプレーヤーに厳しくチェックし、マイボール時には前線やサイドハーフが果敢に動き出して、ギラヴァンツ守備陣の背後を取ろうと試みた。
ギラヴァンツは1週間前の開幕戦で、背後への縦パスから失点しており、反省を生かして讃岐の狙いに対して確実に対応。センターバックの村松航太、本村武揚がバランスを取って守備を続けていく。
先制点は思わぬ形で訪れる。前半10分、相手のパスミスを拾った岡田優希がペナルティーエリア内で倒され、PKを獲得。岡田自身がキッカーを担い、低い弾道のシュートをゴール左に突き刺した。古巣対戦となった讃岐のGK高橋拓也もコースは読んでいたが、シュートスピードのほうが勝った。
ただ、試合はその後、讃岐に主導権があるような状況となる。ギラヴァンツは守備陣が落ち着いて対処したものの、ボールを奪い返しても、効果的に敵陣に進み出すことができなかった。
「思うような展開ではなかった。前節は背後をシンプルに狙われていたので守備はバランスよくと思っていたが、攻撃の距離感が広がっていた。ビルドアップでトレーニングからやってきたものが出せなかった」(田坂和昭監督)
どんよりとした雲に覆われ、風が強くなってきた後半も、讃岐がシュートチャンスを創出する。後半6分にはフリーキックの流れから長谷川隼がシュートを放つ。大きな決定機だったが、GK加藤有輝が好セーブを見せるなど、ギラヴァンツは無失点で耐え続けた。
1点のリードがあるとは思えないような時間帯が長かったが、守備陣の踏ん張りに加え、同9分に中山雄希を投入して右サイドハーフに置き、同ポジションで先発した野瀬龍世を2トップの位置に上げたことが、モメンタムを引き寄せる契機となった。
同14分には、その野瀬がカウンターからドリブルで一気にゴール前に持ち込み、シュートを放つ。これは枠外へと外してしまうが、同25分にも右サイドから再びペナルティーエリアに侵入。一度目のシュートはGK高橋にセーブされるも、再度ボールを拾ってゴールに流し込み、追加点を挙げた。
その10分後には中山の縦パスをゴールライン際で高昇辰(こうすんじん)が折り返し、岡田がゴールネットを揺らした。「高がよく足を伸ばしてくれたし、後ろの守備陣が頑張って体を張って守ってくれていた。いい時間にゴールできた」。そう話す岡田のこの日2点目が、試合を決定的なものとした。
3得点を挙げたギラヴァンツは苦しい展開の中で今シーズンの初勝利。思うような内容ではなかったとはいえ、白星を呼び込み、なおかつ3得点を手にできたのは大きな収穫点となった。
田坂監督は試合後、「守備で団結して守れた」と話し、「今年のチームはかなりハードワークができ、1回アプローチするだけでなく、2回、3回と行ける選手がいる。3点取れたのもいい守備からいい攻撃ができたからだと思う」と選手の粘り強さをたたえた。2得点の岡田は「思ったような展開ではなくても勝ちきる。難しいことだが、こういう積み重ねがJ2昇格につながる。底力を示すという意味でも良い勝利だった」と振り返った。
ギラヴァンツは次戦が今季初のアウェー戦となり、3月19日にカターレ富山と対戦する。