J2レノファ山口FCは5月13日、雨の中でホームゲームを戦い、徳島ヴォルティスに2-2で引き分けた。前半に2点を取られたが、水含みのピッチコンディションとなった後半に池上丈二とヘナンのゴールで追いついた。
暫定的に指揮を執る中山元気監督が10年ぶりにトップチームを率いた試合だった。メンバーとシステムを一部変更し、GKでは寺門陸が先発。ボランチの位置に矢島慎也と神垣陸を並べ、3-1-4-2のフォーメーションを組んでいる相手の中盤の供給路を遮断した。左サイドハーフには池上丈二を置いた。
ボールを保持したレノファは左サイドから池上や石川啓人のクロスボールでチャンスを創出する。しかし、降り続く雨でピッチ状況が次第に悪化。前半はレノファの自陣左サイドでボールが止まるようになり、相手に攻め込まれた場合の規制が難しくなってしまう。
前半27分にはそのエリアに展開されてクロスを送られ、森海渡にヘディングシュートをしずめられる。さらに同40分にはフリーキックから柿谷曜一朗に鋭いシュートを決められ、前半で2点を追いかける状況となった。
水含みの状況がさらに悪くなった後半は、「後半は自分たちがやりたいことというよりは、ピッチに合わせたサッカーになった」(中山監督)と割り切り、早い段階で長身の梅木翼と皆川佑介を投入し、前線にボールが収まる状況とする。
敵陣でのプレス強度が上がり、レノファが主導権を奪還。後半16分には矢島のフィードを敵陣右サイドで吉岡雅和が回収すると、巧みにボールをさばいてクロスボールを送り、池上が左足のボレーシュートを振り抜いた。これが決まり、レノファが1点差とする。
その直後に相手に退場者が出てレノファが数的優位に立った。これで守る徳島と攻めるレノファの構図となり、ボールそのものはレノファが保持。浮き球を中心とした慣れないサッカーとなったが、中山監督はDFの生駒仁を入れて前線に置き、ロングスローのある高木大輔も投入して、パワープレーの最終形態とした。
攻撃は後半43分に結実。高木が右サイドからボールを送ると、ゴール前で皆川がつなぎ、ヘナンがヘディングシュートをたたき込んだ。さらなる追加点は得られなかったが、2点のビハインドだったレノファが後半に2得点を取り返して勝ち点1を手にし、中山体制での初陣は複数得点での発進となった。2点以上を取るのは3月19日のツエーゲン金沢戦以来10試合ぶり。
試合後、中山監督は「素直に勝ちたかった」と悔しさをにじませた。その上で、「2点取られているのであれば3点取る。複数得点できたとしても勝っていなければ意味はないが、ゴールに向かうという選手の意志、チームの意志は見せられた」と話し、「見ていて夢、感動、元気を感じられる試合をしたい」と誓った。