ジロ・デ・イタリア(ジロ)の主催者に最大限の賛辞を与えよう。狂っている。正気か。馬鹿なのか。でも、よくやった。大いに楽しみだ。
今年のジロは総獲得標高が5万メートルを超える(50,610メートル)という過酷なコース設定となった。総距離3,427キロで、垂直方向には50キロを登る。単純計算で毎日の獲得標高は2,410メートル。日々、男体山(2,486メートル)や妙高山(2,454メートル)、燧ヶ岳(ひうちがたけ、2,356メートル)に自転車で登るというわけだ。本当に狂っているとしか言いようがない。
落とし穴があることも忘れてはならない。足を削られるステージが続くが、決定的な差が付くステージはごくわずか。もしかしたら、大会中の最も標高の高い峠を指す「チマ・コッピ」が設定された第20ステージまでは混沌としたままで進行するかもしれない。それに、ジロは雪との戦いでもある。ポルドイ峠の雪はもう溶けているようだが、悪天候でコース変更が起きてしまえば、クライマー脚質ではない覇者にもチャンスは訪れよう。