レノファ山口FCは10月29日、維新百年記念公園陸上競技場(山口市)でツエーゲン金沢と対戦し、試合終了間際に決勝点を許して0-1で敗れた。Jリーグでの金沢との対戦成績は4戦4敗。残留圏(20位以上)との勝ち点差も再び広がった。
選手個人が持つエネルギーの使い方が統一されず、レノファのピッチ上はいくつものベクトルが入り乱れた。一方の金沢は最終盤、リスクを冒すのではなくドローも覚悟した方向にシフトチェンジ。攻撃の狙いどころを絞り、無理なら突っ込まずにボールを回すようにする。結果を引き寄せたのは策を鮮明にしたチームのほうだった。
試合の序盤戦はレノファのペースで進む。右ウイングバックのMF小野瀬康介がボールを受け、縦に鋭くランニング。小野瀬が放ったシュートの跳ね返りやクロスからチャンスを作り、ミドルレンジからはMF小塚和季などがゴールを脅かすが、立ち上がりの15分頃までに作った決定機はことごとく枠に嫌われてしまう。
時間の経過とともに小塚へのマークが厳しくなってきたり、前線の運動量が十分には上がらず、FW岸田和人とFWレオナルド・ラモスにはボールが入らなくなる。セットプレーでは前半38分、小塚をキッカーとしたCKからゴールを狙うも、枠に収めることはできなかった。「前半は押し込めていい形で入れたが、相手に上手い具合にペースを握られた。相手は引き分けで良かったと思うが、その空気に飲まれた」(岸田)。主導権が相手に行き、試合は次第に重苦しいものになる。
この日のレノファも前節・水戸ホーリーホック戦で見せたような攻撃をするべきだった。つまり高い位置で数的優位を作り、システムのギャップを生かしてボールを動かせれば、シュートチャンスは増やせた可能性が高い。しかし、勢いのあった時間が過ぎると、共通理解の不足から動きのちぐはぐさが露呈。徐々に金沢のカウンターを食らうようになり、攻撃の起点も低くなった。