5月から山口を率いているカルロス マジョール監督はサイドを使った攻撃に重点を置く。守備からゲームに入ったとしても、攻撃に転じれば山口のポゼッション能力を活かすとともに、ピッチの左右を広く使ってゴールに近づいていく。この戦術でキーになっているのが前貴之をはじめとする両サイドの選手たちだ。
「運動量が求められるポジション。攻守に存在感を出せればと思う」と話す前は今季、マジョール戦術の要となるウイングバックやサイドバックで出場。効果的なパス、厳しいチェックなど任せられたポジションの仕事を実践し、なおかつ90分間クオリティを高く保っている。時間帯や相手にとらわれない均質のプレーは、現代アートに似た独特の様式美を帯びていると言ってもいいかもしれない。特に攻撃時のパフォーマンスは美しく、力強い。マジョール監督も「サイドを使ったり、サイドチェンジをしたりしてフィールドを広く使って攻めていきたい。その面では運動量が必要で体力的には厳しいと思うが、とても期待している」とサイドを張るプレーヤーに信頼を寄せる。