いよいよ、待望の新スタジアム「ミクニワールドスタジアム北九州」がグランドオープンする。構想から約10年。北九州市に産声を上げ、この街に育まれてきたチームがようやくJ1規格のホームスタジアムを手にする。
今から約2年半前の2014年8月。今と変わらずストライカーとして活躍していた池元友樹と、現在は秋田でプレーする松本拓也は小倉港から渡船に乗り込み、離島・藍島(あいのしま)を目指した。島の小学生たちとサッカーを通じた交流をするためだ。二人といくばくかの客を乗せた船が波の穏やかな港から響灘に出て行く。そのときにかすめた場所が、まだ何も建っていない状態のスタジアム「建設予定地」だった。
「ここにできるんだよね」。「海から近いなぁ」。「ここにできたら藍島の子どもたちも見に来られるよね」――。姿を現していないスタジアムをそれぞれの頭の中に描きながら、会話が弾んだ。