ホームタウン制覇の旅、役所・役場編を地味に続けている。レノファに関しては、ご当地所属選手の提案者の一人でもあるので、ご当地に目を向けるのは義務でもあると思う。ギラヴァンツに関してはフレンドリータウンを有効活用できていないのではないかという思いがあり、やはりしっかり各地に足を運んでおきたい。
まずは各地の本丸をしっかり見ておこうというわけで、役場・役所編でスタート。とりわけ公共交通機関では行きにくい場所をはじめのうちに押さえておこうという心づもりで、最近は阿武町、上関町、周防大島町(以上レノファ)、上毛町(ギラヴァンツ)をリストアップ。このうち阿武町は星雄次(大分)が募金活動の際に行っていたので、次なるターゲットを上関町と決めた。
年明け1月4日。時刻表とにらめっこの末、上関町役場を最終目的地とする半日旅行を計画。往路で柳井市、復路で平生町を経由して、白地図の3市町を塗りつぶすことにした。あまり参考にはならないと思うが、公共交通機関でこれらの市町を目指したい方は、頭の片隅にでも入れておくと役に立つかもしれない。
柳井市役所までのルートは分かりやすい。山陽本線で柳井駅まで降りればよいのだから。ただし、柳井駅の表玄関は駅北口。南側にある柳井市役所に行くためには、駅を出て左手にある地下道を通らなければならない(この地下道、けっこう広くて居心地がいい)。そして地下道を出て幅広の歩道をまっすぐに。
その歩道の先に柳井市役所。でっかい建物である。なんともそれ以上の感想を持ちにくいのであるが、威風堂々たる建物は好きだ。「We are 役所! I am 市役所!」である。(よく言っている意味が分からないと思うが、大丈夫。私も分からない)
乗りたい電車まではもうちょっと時間があるので、駅北側に戻って白壁の町並みにふらっと立ち寄った。名物の金魚ちょうちん、名物のカニに注意の標識。駅に戻ると、石の置物が陳列されていて、いぬに見立てた作品(?)もあった。それから忘れてならないのは駅スタンプ。柳井駅は白壁をモチーフに「白壁に昔をしのぶ商都の駅」というもの。駅待合室で誰でも押せるので、スタンプ帳を持っていこう。
さて。次はいよいよ上関町。上関町内を行く鉄道はないが(歴史的にみても敷設されたことはない)、ここへ公共交通機関で向かうルートは「二つ」ある。
一つは想像しやすい。路線バスだ。駅のない市区町村でも、基本的に大半の役所へは路線バスが通じている。当然、上関町へも路線バスが走っており、柳井駅と上関町を結ぶ路線バスは1時間に1往復ほどの頻度で確保されている。
私も当初は路線バスを使う計画を立てていたものの、霜田正浩監督が「トライアングル、ダイヤモンドを作れ」と言うように、ルートの選択肢も一つに絞り込んでは必ずパスカットされてしまう(そんなことはない)。でも万が一のことを考えて、旅に出るときは代替ルートは常に考えている。特にこのルートは運賃がちょっぴり高めなのがネックだった。なんとか安く行く方法はないか…。行動前日に地図ともにらめっこしたところ、目にとまったのは、「航路(祝島~上関~柳井)」の表記。この航路、私は祝島に行くためのものとばかり思っていたが、運行会社のウェブサイトに行ってみると、上関でも途中下船できるようなのだ。しかも路線バスよりも運賃が安い。ただし1日に2~3往復と少ない。でも、『橋の渡ってる場所に向かって船』というのも粋だなと思って、乗ってみることにした。
柳井駅から一駅。柳井港(やないみなと)駅で降り、柳井港(やないこう)へ。小洒落た待合室を兼ね備えたフェリー発着所に到着する。ここは、利用する方も多いと思うが松山行きのフェリーが発着する山口県内でも有数のターミナル。どちらかというと、というか確実に松山行きがメーンなので、上関方面への船はというと、かなり端っこのほうに…。でも問題はない。むしろ私が心配だったのは、祝島への輸送が本役の船で、途中下船がきちんと認められるかということ。おそるおそる、「すみません。上関で降りたいんですが…」。すると切符売り場のおじさんは「円です。少しお待ちくださいね」と言って、日付印が押された切符(上陸券!)を誰何するでもなく発券してくれた。問題はなかったようだ。
船は小型。43トンの「汽船いわい」という。揺られること30分。景色はとてもいい。左手に大島大橋、笠佐島、周防大島とめまぐるしく風景が変わり、最後は上関大橋をくぐって室津港、そして上関港に到着する。上関大橋といえば火野正平さんの自転車旅(こころ旅)で出てきた場所。高所恐怖症らしい火野さんはこの橋を渡れず、確か地元の漁師さんに船で渡してもらうという話だった。でもそれが分かるくらいに、下から見るとけっこう高い。このアングルはなかなか見られないので、これを見るためだけに船に乗るのもいいだろう。
ただ、注意しなければならないのは、港によって船の中ほど(船室側)から乗り降りする場合と、船尾から乗り降りする場合があるということ。乗船時が「船尾側」だったので、てっきりそこで降りるものだと思っていたら、なんと上関港は岸壁が短いためか船尾までを横付けできず、船の中ほど(船室側)からの乗降だった。あやうく降り逃して祝島に行くところだった。