6月を無敗で終え、6月30日の他会場の結果を受けて2位以上での前半戦フィニッシュが決まった。降格圏を彷徨っていたチームは今年、見事なまでの反転攻勢。勝ち点は昨年1年間を上回る「39」の伸ばし、来季のJ2以上での戦いが確定的となった。
10分や20分台という早い時間での失点が目立つレノファ。この試合でも、千葉の長身FWに重いシュートをしずめられてしまう。前半16分、クロスボールから指宿洋史に決められて0-1。早くも追いかける展開になるが、同32分、敵陣内で相手ボールをインターセプトして反復攻撃に出ると、小野瀬が右サイドから切り込んでゴールに接近。小野瀬はシュートではなくパスを選択し、マークをうまく外したオナイウ阿道が同点ゴールを放った。
ところが同38分にも再び指宿に追加点を仕留められ、またしても1点を追う展開に。後半は途中からは[2-4-4]のシステムとして再びの同点を目指した。
猛攻が実ったのは後半アディショナルタイム。右サイドで小野瀬がしぶとくボールをキープすると、大外から追い越した三幸秀稔がパスを受けてすかさずクロス。これに右サイドバックの前貴之が飛び込んで土壇場でドローゲームに持ち込んだ。勝ち点3とはならなかったが、三幸、小野瀬、前の運動量が落ちず、ゴールに向い続けた結果の貴重な勝ち点1となった。
ミッドウィークに天皇杯2回戦(対大分、2-1)が入り、厳しい連戦となった。しかし、レノファのタフさに隙はなく、これまでなかなか勝ちきれなかった岡山を相手に優位にゲームを進めた。
前半33分、右サイドでリズム良くボールを動かして相手をはがしていくと、池上丈二が左足でクロス。これに合わせたのは天皇杯でもゴールを挙げていた山下敬大だった。呼吸が合ってきたコンビらしいピンポイントのクロスに、山下もちょうどのタイミングで頭を振ってゴールイン。レノファが先制点を手にする。
後半、霜田正浩監督は佐藤健太郎とジェルソン・ビエイラを投入。まるで1点を守り切れるかどうかを試すように交代カードを切り、果たしてレノファイレブンは1点を守り抜いて勝ち点3を手にした。
前節はクリーンシートでゲームを閉じたものの、早い時間で失点する「癖」が癒えたわけではなかった。全体を押し上げる分だけ、裏のスペースやアンカーの脇は狙われてしまう。特にボールを主体的に動かしてきた徳島には対応が後手になる時間が長くなった。
ただ、対徳島戦での「早い時間の失点」は流れの中からではなく、セットプレーから。CKのあとのクロスボールに対して、石井秀典がマークを振りほどいて身体を伸ばしゴールを射止めた。これによって、レノファは1点差のギャップを背負うことになるが、良くも悪くもスイッチは入った。
前半42分に小野瀬康介がシュートのこぼれ球から豪快に振り抜いて同点とすると、後半19分には再び小野瀬が逆転弾。ダイレクトで折り返したクロスボールがそのままゴール方向に向っていき、GKの頭上を越えてネットに吸い込まれた。
レノファは先に1失点を喫し、相手にゲームを作られながらも、少ないチャンスを生かして勝ち点3を掴んだ。
ポゼッションサッカーの岐阜に苦しめられた試合となった。相手の土俵の上でサッカーをしてしまい、レノファはうまくゲームを作れなかった。とりわけ調子を上げてきていた相手の左ウイング
・古橋亨梧に突破を許し、パスからシュートの流れを何度も見せつけられてしまう。
ただ、先制したのはレノファ。前半7分、池上丈二がセンタリングを上げると、オナイウ阿道がペナルティーエリアの外からするすると入り込んでヘディングシュート。相手のマークは付ききらず、鮮やかにゴールに落とし込んだ。そのあともいくつかレノファはチャンスを作るが決めきれず、ゲームの流れはポゼッション率で圧倒した岐阜へ。後半17分ど同30分に古橋に連続ゴールを許して、あっさりと逆転されてしまう。
それでもレノファは同32分、今度は鳥養祐矢が鋭くクロスを入れると、またしてもオナイウが飛び込んで同点に。なんとかゲームを振り出しに戻して「勝ち点3」に向けたスタートラインに立ち直す。が、途中出場の大崎淳矢が連続してイエローカードを浴びてしまい退場。ここからというときに10人の戦いになってしまった。
霜田監督はここでも勝ち点3をまるごと失ってしまうリスクを考慮。佐藤健太郎を入れて勝ち点1を確実に取りに行くように舵を切る。この策が奏功して難しいアウェー戦で勝ち点1を手にした。
岡山戦では1点のリードを守ろうとして、確実に守り抜いた。岐阜戦では10人になったがための窮余の策になったが、失点をすることなく勝ち点1を手にした。佐藤健太郎などバランス感覚に優れた選手を投入して、試合終盤で失点せずにゲームを閉じるというクレバーな戦いができるようになった。
その一方で早い時間での失点は続く。追いつけているし、徳島戦のように勝ち越せてもいるが、こういう戦いをいつまでも続けられるわけではない。エネルギーの必要な戦いを夏場にずっと続けられるわけではないだろう。
ゲームを15分ずつ6分割した場合、レノファはゲームの入り方そのものは良く、第1フェーズ(キックオフ~前半15分)は主導権を握れている。また、後半の15分以降、つまりは第5、第6フェーズも得点を取ったり、失点を防いだりといったミッションを達成しながらゲームを進められている。ところが、前半15分以降と後半の立ち上がりは荒さが目立つ。端的に言えばパスのクオリティーが下がり、相手にみすみすボールを渡してしまっている。
入りを集中する分だけ集中が途切れているのが一因かもしれない。後半に関しては相手の修正に対して後手に回っているとも言えよう。いずれにしても状況をしっかりと判断し、選手同士で声を掛け合えばなんとかなる課題でもある。もっとピッチの上でうるさく鼓舞しあっても良さそうだ。
いよいよシーズンは後半戦に入る。やはり主導権を握り続けるほうが疲れにくい。上位を確実に歩み続けるべく、あらゆる時間帯でゲームを支配する戦いをしたたかにやっていきたい。