鉄道の維持が民間任せになりがちな日本国内で、昨今は赤字ローカル線の存廃を大きな課題としてメディアが取り上げるようになった。しかし、国や自治体の関与が薄いJRの主要路線や大手私鉄では、赤字や黒字とは無関係に合理化が進む。民間企業が利益へと走るのは当然ではあるが、コロナ禍が追い打ちを掛けてコストカットは加速。利用客が置き去りになる実態も浮かび上がる。
JR九州は西九州新幹線が開業した今年9月23日、在来線のダイヤ改正も実施した。福岡・北九州都市圏では鹿児島本線の運行体系を見直したり、運行本数を削減したりしたほか、415系鋼製車を全廃するなど保有車両の削減を行い、一つの列車に連結する車両数も減らした。
再び振るわれた大なたに、ソーシャルメディアでは不満を訴える投稿も目立つ。交通インフラを祖業とする民間企業・JR九州の合理化はどこまでが許容範囲なのか。本稿では近年の合理化の事例を概観しながら、簡単な提言としてまとめていく。