J2レノファ山口FCは10月15日、昇格プレーオフ進出を目指していたV・ファーレン長崎と敵地で対戦し、1-0で勝利した。対長崎戦は12回目にして初白星。名塚善寛監督は「新しく歴史を築ける」と話し、選手の奮闘をたたえた。
レノファは引退を表明している渡部博文が先発し、フォーメーションを4-2-3-1とした。今季序盤戦は4-3-3、中盤戦以降は3-4-3をベースとしていたが、佐藤謙介と成岡輝瑠をボランチ、トップ下に田中渉を置く形に変更。この狙いが奏功して序盤から相手へのプレスがはまり、自陣からのビルドアップでも右サイドバックの前貴之、右サイドハーフで古巣対戦の吉岡雅和などの連係からチャンスを作り出した。
相手の長崎はJ1昇格プレーオフ進出に向けて一つの負けも許されない状況だったが、動きが硬く、レノファが試合序盤から内容で圧倒する。波状攻撃を続ける中で、前半16分に左からのコーナーキックを獲得。佐藤謙がフェイントを入れたあと、橋本健人が左足で滞空時間の長い浮き球を供給、落下地点に入った田中が右足で振り抜き左隅にしずめた。「コーチがデザインしてくれたもの。狙い通りだった」と田中。主導権を握っている時間にゴールが決まり、レノファが1点を先行する。
後半は長崎が相次いでフレッシュな選手を投入し、前半よりもシンプルにFW陣にボールを送り込んだ。その攻撃を受けたレノファは徐々にボールを持てなくなるが、飲水タイムが入るほどの暑さの中で、リスク回避を優先。終盤は「前線の選手で奪えなくても後ろの8人は落ち着いていた。スライドも間に合っていたので、ショートカウンターの背後のケアをするだけだった」(渡部)と守備に意識を切り替えて冷静に対応する。相手にシュートまで持ち込まれても、体を張ったブロックや関憲太郎のファインセーブで、虎の子の1点を守り抜いた。
J2昇格以降、12試合目にしてようやく手にした長崎戦での勝利。試合後の記者会見で名塚監督は「カウンターでも何回かチャンスはあった。そういうところを決め切らないとこういう試合になる」と反省点を述べつつ、「アウェーの地で勝ち点3を奪えたことは今後の自信につながる。(長崎戦の初勝利で)新しく歴史を築ける」と力を込めた。
勝ち点を50とし、暫定14位。対する長崎はプレーオフ進出を逃した。
レノファは前半はハイプレスと質の高いボールポゼッションで主導権を握り、終盤は1点を死守するという目的でもチームが一つになった。次戦が最終戦。10月23日にジェフユナイテッド千葉と維新みらいふスタジアム(山口市)で対戦し、試合後には渡部、菊地光将両選手の引退セレモニーが行われる見通し。