上位を走り続けた。開幕から3試合は3連勝で首位に立つなど、2~3月の7試合を4勝2分1敗の勝ち点を14とし、いわゆる「開幕ダッシュ」を決めた。7試合で15ゴールはトップタイで攻撃力が際立つ序盤戦となった。
開幕戦はショートカウンターが結実した。オナイウ阿道をセンターに置き、左に高木大輔、右に小野瀬康介を置いた4-3-3の布陣を採用。5人の既存戦力と6人の新加入選手を融合させ、徹底した前線からのプレッシングでボールを奪いに行く。相手のロアッソ熊本はレノファとの対戦時点ではまだチームとしての完成度が十分ではなく、その隙も突いた。前半10分までにショートカウンターからオナイウ阿道、高木大輔がゴールを決めると、後半にも小野瀬康介が追加点。三幸秀稔もミドルシュートをしずめ、リードを大きく広げた。最終盤に1点を返されるが4-1で快勝し、チームとして初めてJ2リーグでの首位に立った。
第2節もホームゲームとなり、愛媛FCをホームに迎えた。このオレンジダービーを制したのもレノファ。対愛媛戦では初めての勝利となった。前線から仕掛けるプレスは変わらず、豊富な運動量でボールを奪いに行く。前半27分に前貴之のクロスからオナイウ阿道が先制点を奪取。なおもレノファが攻め込み、主導権を握ってゲームを進める。最終盤は小野瀬康介や途中出場した鳥養祐矢がディフェンスで身体を張り、危なげなく1-0で勝利。首位を堅持する。
今シーズン初のアウェー戦は、J3から昇格してきた栃木SCとの対戦。予想に反して栃木が前からボールを奪うような動きを見せ、レノファは長くはボールを保持できなかった。それでも少ないチャンスを生かしてスコアを動かしたのはレノファだった。前貴之の縦パスから小野瀬康介が右サイドをえぐり、浅い角度から先制弾を突き刺す。前半38分には高木大輔がCKにバックヘッドで追加点を決め、さらにオナイウ阿道がGK藤嶋栄介からのロングフィードを収めて点差を拡大する。対する栃木は後半からネイツ・ペチュニクを投入。これに対してレノファも福元洋平を投入してシステムを3バックに変更し、栃木に数的優位を作らせないようにするが、捕まえきれずに連続ゴールを許してしまう。後半も大崎淳矢とオナイウ阿道が追加点を挙げて5-2とスコア上は大勝したものの、守備に課題を残した試合となった。
前節で見えてきた課題が黒星という形で表面化したのが第4節の水戸ホーリーホック戦だった。0-3で敗れてしまうこの試合は1失点目と3失点目が自分たちのミスから。イージーなパスミスだったり、相手の動きを見ないままの安易なボール出しを奪われて、失点を喫した。2失点目では片方のサイドに選手を集められたのち、空いたサイドに振られて為すすべなく失点。レノファは1点も奪い返せずにゲームを閉じた。
失点につながってパスミスは、パスの出し手と受け手の関係に問題があるのではなく、個人のクオリティーで改善できるようなものだった。2失点目は主導権を握れていないことの証左のようなプレーで、反省点ばかりが目立った。
失点をどう減らすか。第5節のツエーゲン金沢戦も現実を突きつけられる試合となった。水びたしのピッチでスタートしたゲームは前半40分、小野瀬康介のシュートで先制し、レノファが優位に試合を運ぶ。後半2分には高木大輔の縦パスに反応した山下敬大がプロ初ゴールを決め、2-0と勝利を近づける。だが、後半32分にマラニョンに追撃点を許すと、後半アディショナルタイムにはCKを相手にどんぴしゃりで合わせられてしまう。これはコースに入った岸田和人が跳ね返すが、一連のプレーがハンドと判定されてPKに。これをマラニョンに決められて同点。レノファは2点をリードしていながら最終盤で2失点し、勝つことの難しさを思い知らされる。
中3日で迎えた第6節松本山雅戦は、前節とは逆の展開となった。開幕からここまで勝利のなかった松本は前節からメンバーを変更し、FWでは永井龍が先発する。レノファも永井の動きは封じていたものの、永井が負傷のために早い段階で高崎寛之にスイッチし、この高崎に先制点を許してしまう。後半に入っても松本に追加点。0-2とされたレノファはボールをリズム良く回すことができていなかったが、池上丈二を投入してパサーの枚数を増やし、最終ラインも2バック気味の思い切った布陣に変更する。これが奏功して後半アディショナルタイムに山下敬大のポストプレーからオナイウ阿道が1点差に迫るゴール。さらにその1分後には前貴之がミドルシュートを決め、土壇場でドローゲームに持ち込んだ。
続く試合はモンテディオ山形とのアウェー戦。松本戦は引き分けで終わったものの、流れを呼び込んだ状態でゲームを終えたレノファ。3戦勝ちがなかったとはいえ雰囲気は良く、緊張感の高いトレーニングを重ねて山形戦に臨んだ。
ピッチコンディションが悪く割り切ったプレーも必要になったが、前半25分に前貴之の縦パスで一発で裏を取り、パスを呼び込んだ高木大輔が先制のゴールを決める。チーム全体の守備意識も高く、三幸秀稔が厳しいチェックで相手の攻撃をディレイ。大崎淳矢や初先発の山下敬大も前線からアプローチして危ない場面を作らせず、レノファが1-0で勝利。4試合ぶりに勝ち点3をつかんだ。